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ケイオシアム社のライセンスについて調べてみたのでメモしておく

TRPGのレビューを無限に書いていくという気持ちだけはあったものの、やることがあまりに多すぎて4月丸々何も書かなかった上に、5月は終わりを迎えようとしています。私は悲しい……。

数日前、ケイオシアム社のライセンスについて調べたのでメモを兼ねてエントリにしておきます。

ケイオシアム社はアメリカのTRPG制作会社で、クトゥルフの呼び声Call of Cthulhu)を出版しています。他にも有名な作品だと、ルーンクエストRune Quest)を出版している会社でもあります。

クトゥルフの呼び声の日本語版「クトゥルフ神話TRPG」の発行元は株式会社KADOKAWAです。念の為)

このケイオシアム社は、実は自社のTRPGについて、ファン活動のためのガイドライン、および小規模発行元向けのライセンスを提供しています。(もちろん正規の商業ライセンスもありますが)

今回は Fan Material Policy と Small Publisher Limited License について説明します。

Fan Material Policy

↑では「ファン活動のためのガイドライン」と書いたのですが、実際には「ポリシー」です。Policy という単語は日本で一番知られている意味だと「主義主張や思想信条」という意味になると思うのですが、実際には「政策・方針・方策」みたいな意味もあります。ここでは後者の意味ですね。(英和辞書を引くと、後者のほうが先に記述されているので、意味としてはこちらの方が強いようです)

URL: https://www.chaosium.com/fan-material-policy/

この Fan Material Policy (ファン・マテリアル・ポリシー)ですが、めちゃざっくりいうと「非商用・無販売で、ケイオシアム社の著作物を使わない形なら、ある程度は自由にしてね」ということが書いてあります。

ケイオシアム社はケイオシアム製品群へのコントリビューション(日本語に直訳すると貢献って意味なんですが、寄稿作品とか、具体的な品物や成果を伴う貢献というイメージがある単語です)を応援するし、尊重します。Fan Material Policy はケイオシアム社の著作権、商標、その他の知的財産の所有権に関する事柄を明確にするためにデザインされています。(意訳)

具体的にやっちゃダメなこととか、こういうことはやってもいいよとか書いてるんですが、重要な3点だけ、この先で説明しますね。権利者が提供するポリシーなので、もし Fan Material Policy に関係する活動をするときは、自分でライセンスを確認した上で行ってください。当たり前なんですが、ちゃんと読まずに活動してトラブルを招いても、他の誰かが代わりに責任を取ってはくれません。

ちなみに、Fan Material Policy の対象にはイラストなども含まれています。

Non-Commercial

ノン・コマーシャル(非商用)。コマーシャルというとテレビ番組の合間に挿入される、いわゆるテレビCMを連想しますね。コマーシャルの本来の意味は「商業上の・営利的な」です。

非商用とは、「あなたはFan Material Policy に基づいたコンテンツを販売したり、コンテンツにアクセスするためのその他の対価を請求したりしてはならない」ということです。ここで言う対価とは、金銭のことで、さらに言えば「金銭を得ることを目的に配布してはならない」ということです。

Non-Retail

ノン・リテイル(非販売)。Retail を販売というと少し違って、厳密には「小売」という意味です。小売というのは、要するに店頭で1人の客に対して行う、普通の意味での販売のことです。

Non-Commercial でも記述されていますが、「あなたの素材やサイトにアクセスするための対価を請求してはならない」ということです。これには「DriveThruRPG, OneBookShelf, Amazon, Google Play, iTunes, App Stores」が含まれ、また無料であっても禁止されています。ノン・リテイルの意味での対価とは、例えば「月額100円支払ってくれれば、ここにあるコンテンツはずっとアクセスできるよ」みたいなものも含まれます。

Unofficial

アンオフィシャル(非公式)。当たり前なんですが、公式を装っては駄目です。

Small Publisher Limited License

小規模出版者向けの制限ライセンスです。

めちゃざっくり言うと、年間 USD$2000 までの売上規模の出版者が該当するライセンスで、コンテンツの利用者から対価を得ることができるものです。つまり自作のコンテンツを販売することができます。ライセンスフィーとして USD$100 が必要です。

ちなみに USD はアメリカドルの略称で、ISO 4217 で定義されてます。

URL: https://www.chaosium.com/small-publisher-limited-license/

こちらは正直、あまり解説することはないです。小規模とはいえ商用可能になるライセンスなので、100ドル(雑に直すと1万円くらい)で取れるなら取っておいてもいいんじゃないのかなというくらいですね。2000ドルはまあ20万円なので、電子書籍なら(同人制作の場合)利益率が良いので選択肢に入ってくると思います。売上20万円っぽいので注意してください。

The Myscatonic Repository

ミスカトニックリポジトリミスカトニックとは、H.P. ラヴクラフトの作品に登場する架空の大学の名前です。リポジトリは「保管庫・収容所」などの意味です。

The Myscatonic Repository は公式のユーザー制作コンテンツのコレクションで、DriveThruRPG というウェブサイト(TRPG電子書籍で販売している英語圏のサイト)の中にあります。ここを使う場合に限り、ライセンス契約なしでの販売もできるようです。また、ライセンス契約も行っている場合、この2つは両立するようです。

前提にできるルールが第7版に限られる制約がありますが、英語で創作する限りにおいてはここで出すのがベストな選択肢になりそうです。2020年6月1日追記:第1版から第6版に向けて書かれたコンテンツも受け入れるよう修正されていました。ちなみに日本語のコンテンツを登録しても良いようですが、日本語圏の人がここをチェックしているかと言われると、うーん、どうなんでしょうね。私は見てないです(やっぱり英語コンテンツが主体なので)

関連URL

Fan-Use and Licensing: https://www.chaosium.com/fan-use-and-licensing/

以下、↑のページからアクセスできるページです。

Fan Material Policy: https://www.chaosium.com/fan-material-policy/

Small Publisher Limited License: https://www.chaosium.com/small-publisher-limited-license/

Commercial License: https://www.chaosium.com/commercial-licensing/

The Myscatonic Repository Guideline: 

https://support.drivethrurpg.com/hc/en-us/articles/115005751243-Chaosium-Miskatonic-Repository-

最後に

今回はちょっとデリケートというか、間違いが含まれているとトラブルの元になりかねない題材を扱ったので、もし本エントリの記述に間違いを見つけたり、誤解を招きかねないと思ったら、Twitter などで連絡をいただけると幸いです。

Twitter: @shino_gamer