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クトゥルフ神話TRPG(第六版)の紹介

クトゥルフ神話TRPGはホラー(+ミステリー)を題材にしたゲームで、ルールがわかりやすく、現代日本を舞台にして遊べるという点が初心者向けだと言われている印象があります。

現在は新版に更新されたので、あたらしく始めようという人は基本的にはクトゥルフ神話TRPGを購入してください。(すでにクトゥルフ神話TRPGを遊んでいるグループに参加する場合、メンバーにどちらで遊んでいるのか聞いてみるのが良いです)

新クトゥルフ神話TRPG(第七版):遊びやすくなった最新版で宇宙的恐怖を堪能する

実際には、複雑なルールや誤解されて広まっているルールも多く、また現代日本で遊ぶためにはいくつか押さえておかなければならないポイントがあるため、言われているほどに初心者向けではないんじゃないかなーと思ってます。

すごく面白いシステムで、私自身の TRPG 体験を語るには絶対に外せない作品でもあります。

現在、日本で出版されているクトゥルフ神話TRPGは、アメリカにあるケイオシアム社の "Call of Cthulhu" の第六版を邦訳したものです。

実はこれ、アメリカではすでに第七版が出版されていて、ルール面でいくつか変更があるみたいです。(私も英語 PDF 版は購入したんですが、翻訳が面倒であんまり把握できてないんですよね……)

日本でも第七版が出版されていて、購入することができます。

クトゥルフ神話って?

クトゥルフ神話というのは、ギリシャ神話や北欧神話などの、自然発生した神話を後から編纂したものではなくて、18世紀のアメリカで生まれた創作神話です。

クトゥルフ神話 - Wikipedia

ただし、一人の作家――ラヴクラフトによって作られたものではなく、複数の作家が創作を重ねて作り上げられた世界観です。クトゥルフ神話の世界観を一口で語るのは非常に難しく、多分このテーマだけでめっちゃ長い文ができてしまいので、誤解を恐れずかいつまんで説明するしかないのですが……。

クトゥルフ神話の世界では「この世には人の理解を超えた存在がいて、さらには人の知識の及ばない祕められた真実があり、それらに触れた人間は凄惨な末路をたどる」という価値観が根底にあります。

人の文明や歴史を超越した、恐るべき神々や支配者たちが存在しており、またその手先となる怪物たちも息を潜めて暮らしています。時として彼らを崇拝する人々が現れ、そして社会に暗い影を落としていくのです。

クトゥルフ神話TRPGでは、プレイヤーは「探索者」となり、クトゥルフ神話的な謎に挑みます。

新クトゥルフ神話TRPG(第七版)の紹介:遊び心地が大きく改善された最新版

ルールの基本

クトゥルフ神話TRPGのルールは、わかりやすい面とわかりにくい面がまぜこぜになっているように感じられます。キャラクターの作成方法や基本的な判定処理はわかりやすいですが、戦闘やダメージの処理などがわかりにくく、また KP(クトゥルフ神話TRPGでは進行役のことをキーパー / KPと呼びます)の裁量に頼る部分も多いです。

キャラクターは7つの能力値と数十個の技能によって構成されます。能力値はおよそ 3 〜 18 くらいの値を取り(能力値によって細かく異なります)、技能は 1% 〜 99% の間の数値になります。これは他の TRPG がそうであるように判定処理にも関わっていて、キャラクターが技能の範囲のことがらに挑戦するとき、その技能のパーセンテージがそのまま成功率になります。

例えば〈回避〉技能が60%のキャラクターは、そのまま60%の確率で咄嗟の危険を避けることができる、ということです。このあたりは非常に直感的でわかりやすいポイントで、初心者向けと言われる所以でもあるようです。

戦闘は行動の順序こそ明確に定義されているものの、「戦闘でなにができて、なにができないのか」は非常に曖昧です。

最も基本的な行動として、攻撃・回避・受け流しに関するルールは定義されていますが、それ以外のアクションになると原則的には KP の裁量に任されます。ただし、火器(拳銃などの火薬を使った武器)の利用については追加ルールがあり、それに従うのが良いでしょう。クトゥルフ神話TRPGにおいて、拳銃は素手で殴るより圧倒的に強力です。

炎・窒息などによるダメージの扱い、毒に関する処理など、特別なシチュエーションに関するルールも豊富です。このあたりを咄嗟に使えると「それっぽさ」が増して私は好きです。

それから、忘れてはならないのが「正気度」のルールです。このルールを面白いと感じられるなら、ぜひクトゥルフ神話TRPGを遊んでほしい、と私は思っています。

探索者(プレイヤー・キャラクター)には正気度と呼ばれるステータスがあり、これは 0 〜 99 の間の数値を取ります。ゲームをプレイする中で、探索者は恐ろしいものを見聞きしたり、知るべきではない知識を知ってしまったりします。そうした時、KP は探索者の「精神の弾力性と情緒の安定度を試す(クトゥルフ神話TRPG p85 より)」のです。具体的には、正気度ロールと呼ばれる(巷で SAN チェックと呼ばれいている)処理を行い、その結果として正気度が減少していきます。

ここで重要なのが、現在の正気度が低い探索者ほど、正気度ロールによって失われる正気度は大きくなりやすい――つまり、精神が不安定なものほど、正気を失いやすい――ということです。

一度に多くの正気度が失われれば、探索者は狂気に陥り、プレイヤーは狂気に相応しいプレイをしなければなりません。「精神の安定を欠いていく登場人物」を、自然とゲームに組み込めるルールになっているというわけです。

そしてめったにないことですが、正気度が 0 になってしまえば、探索者は永久的な狂気に陥り、プレイヤーのコントロールを離れてしまいます――キャラクターロストです。

好きな点・面白い点

そもそもホラーTRPGというだけで私はめちゃめちゃ好きなので、「好きな点はどこ?」と聞かれると「クトゥルフ神話TRPGという存在が好き」みたいな話になってしまいます。なので、がんばって「他のTRPGと比較して良いところ」の話をしたいと思います。

まずルールの項でも述べたことですが、最も基本となる判定のルールとキャラクター作成の手順が簡単で、初心者のプレイヤーをゲームに誘いやすい点が挙げられます。

KP がルールブックを所持していて、ルールをきちんと把握しているなら、ルールブックを持っていないプレイヤーであってもゲームに加えることができるからです。

もちろん長く遊ぶならルールブックは絶対に持っておいたほうが良いですが、お試しで遊ぶだけなのにルールブックを購入するのは躊躇する人もいるので、そういった状況ではプレイヤーが最低限把握すべきルールが少ないのは敷居が低いと言えるでしょう。

一方で、ルールが簡単すぎず、「ちゃんとキャラクターを作った感じ」が得られるのも良いところです。

またルールが「少ない原則と多くの例外則」で構成されている点も、プレイヤーにとっては敷居が低いポイントだと思います。

逆に、例外則の中にはゲームバランスに大きな影響を与えるものもあるので、KP がきちんとルールを把握しているかどうかで遊び心地が変わる点については注意が必要だと思います。

あまり具体的に挙げるのは(著作権の観点から)憚られますが、例えば、射撃には「ゼロ射程でのルール」というものがあり、これは非常に近距離であれば命中率が大幅に上がるという内容なのですが、これを KP が知らないか忘れていると、〈拳銃〉技能40%の意味が全く違うものになってきます。

面白い点はやはり、PC である探索者たちが精神的にも肉体的にも「人智を超えたもの」に挑戦するという点です。正気度を失いながら、明らかに人より強力な怪物に、知恵を使って挑むという構図は、他のゲームにはない独特のプレイ感を与えてくれます。

イマイチな点

例外則が少なくないので、KP がしっかりしていないと困ることがあるという点でしょうか。私も PL を困らせたことがあります。これを属人的な問題とみるか、ルールの問題とみるかは人それぞれだと思います。

それから「ルールにところどころ曖昧な記述や矛盾する記述がある」という点も厄介です。なんであるのか本当にわからない。実際のプレイでは「この記述はこういうふうに解釈するよ」と合意形成をすればいいだけなので、大きな問題にはならないんですが……。

それから、現代日本を舞台にして遊ぶ場合、拳銃についてきちんと検討する必要がある、という点は重要です。

クトゥルフ神話TRPGにおいて火器は非常に強力で、攻撃力が高く、また攻撃回数も多いため、これが使えるのと使えないのとでは探索者の攻撃能力が大きく異なるのです。そのため、1920年アメリカを舞台にしたシナリオを現代日本舞台に調整して遊ぶ場合、登場する敵対的な生物を弱体化させるか、探索者側に拳銃やその他の攻撃手段を与えるか、という感じになってしまいます。たまに調整しないで大変なことになったりもします。

このあたりの数値感を KP が把握していればどうにかなったりするのですが、ルールブックには特にそのあたりの記述が(邦訳版なので当たり前なのですが)ないので、不慣れなうちは探索者がどんどん死んでいくということになりがちな気がします。

すべての人が数字に強いわけではないので、素直に1920年アメリカで遊ぶか、現代日本で遊びたいなら専用のソースブック(追加の解説やガイドライン、データなどが掲載されているもの)を購入するのが良いかもしれません。

商品展開

日本では様々なソースブックが出版されています。ラヴクラフトが書いた原作小説の舞台であるアーカムインスマウスを遊ぶためのソースブックや、現代日本で遊ぶために調整が施されたソースブックもあります。そちらの紹介もいつか書きたいと思っています。

本体である基本ルールブックは Amazon 価格で 6,264円 です。他の TRPG のルールブックと比べると高めですが、内容を考えると安いくらいだと思います。

この基本ルールブックには、ルールの解説だけでなく、ラブクラフトの原作小説、様々な呪文や神話生物のデータ、1920年代のアメリカを舞台としたシナリオ4篇などが含まれています。「ルールだけ知っていればいつまでも遊べる」というには、クトゥルフ神話の世界は奥深く、基本ルールブックですら全くカバーできないほどです。長く遊ぶなら最低でもこの一冊だけは持っていてほしいと思います。

追記:現在では新クトゥルフ神話TRPG(英語版第七版と同じ内容)が購入できるので、そちらを購入したほうが良いです。

関連リンク

ニコニコチャンネル

クトゥルフ神話TRPGチャンネル(クトゥルフ神話TRPGチャンネル担当) - ニコニコチャンネル:ゲーム

KADOKAWA がやっている、ニコニコチャンネルです。「クトゥルフ神話TRPG」の日本語版の発行は株式会社KADOKAWAによるものなので、公式によるコンテンツ提供チャンネルですね。

ブロマガ(ニコニコでのブログみたいなもの)でキャラクターシートなどが提供されています。

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Chaosium

Call of Cthulhu の英語版を出版しているケイオシアム社のウェブサイトです。

www.chaosium.com